PHANTOM GX FOOTBALL ACADEMY

INTERVIEW

@東邦高等学校 2024.02.18 Sun.

中西 哲生 スポーツジャーナリスト/パーソナルコーチ

サッカーショップKAMOがNIKEと共に立ち上げた
『Nike FC presented by Soccer Shop KAMO』の活動の
第7回として訪れた愛知県 東邦高等学校サッカー部。

“PHANTOM GX FOOTBALL ACADEMY”と題した今回の企画について、
オンピッチとオフピッチの講師にお招きした
中西氏にインタビューを行いました。

  • 技術と思考がセットになった瞬間にスキルになる

    ー『Nike FC presented by SOCCER SHOP KAMO』をお受け頂いた理由を教えてください。

    中西: 今はいろいろなチームに関わらせて頂いている中で今回、自分のメソッドを伝える機会を頂き、また選手に直接指導する場を与えて頂いたことを本当にうれしく思います。

    あと実家が東邦高校のすぐ近くだったので、そこでの縁も感じ、今回受けさせて頂きました。

    ー『PHANTOM GX FOOTBALL ACADEMY』の感想を教えてください。

    中西: オフピッチの講義内容をすぐに実践し素晴らしいシュートを何度も決めくれましたし、たった半日ですがかなり成長してくれました。

    今日は選手達の心に少しでも火をつけることが出来ればいいなと思っていたので、選手達から「楽しかったです」と言ってもらえて、僕自身も有意義な時間になりました。

    ー特別な講師をお呼びしてオフピッチとオンピッチで講義を行う『Nike FC presented by SOCCER SHOP KAMO』の取り組みはどう思われますか?

    中西: 技術を発揮するための思考が無いと良いプレーは出来ません。なので技術だけでなく思考を学ぶ事はとても重要です。実際にトレーニングする際にグラウンドで様々な事を伝えますが、どのような思考であれば技術を発揮出来るのか、逆に思考が技術の邪魔をする時はどのような状態なのか。そこを理解した上でトレーニングする必要があります。

    技術と思考がセットになった時、それは試合で使えるスキルとなります。技術+思考=スキル、これを知っておくことがとても重要です。
    技術だけでは試合で使えるスキルにはならないので、技術を学ぶ実技と思考を学ぶ座学は、素晴らしい組み合わせですね。

  • 誰もやってない事を探して取り入れる事がとても重要

    ー高校生への講義に向けて特別な準備や工夫はされましたか?

    中西: 難しすぎるトレーニングは出来るまでに時間がかかるので、プロ用のトレーニングをブレイクダウンし、選手達が出来るようなトレーニングを色々考えました。
    個人の力を伸ばす事は重要ですが、グループで技術を発揮する事もとても重要だと思っているので、パーソナルトレーニングもフォーカスしながらグループトレーニングを取り入れる事によって、グループで技術を発揮する力を伸ばす事が出来ればと思います。

  • ースパイクやサッカーの進化や変化をどのように感じますか?

    中西: 日々進化していると思います。
    スパイクは常に進化していて、最新の素材やテクノロジーを身に着けて力を借りる事も重要です。スパイクの良さをうまく発揮出来る様な技術指導にもフォーカスしています。

    サッカーも急速に進化していますが、最新のトレンドを追った瞬間に遅れた事になるとも思うので、誰もやっていない事を常に探しながらトレーニングに取り入れるよう考えています。
    そういったことを取り入れる事で、トレンドと違う思考や戦術、技術が生まれると僕は思っているので、サッカーだけにこだわらずに、違うスポーツや分野からヒントを見出すように意識しています。

    ー選手へはどのような指導をされていますか?

    中西: 僕のトレーニングは選手とグループを進化させる内容であり指揮系統では無いので、チームの戦術や相手の対策へは踏み込まないようにしています。
    その中で、戦術や対策に対応出来る技術や戦術の幅が広がる様な選手を育てる事にフォーカスしています。

  • 成功体験を振り返り言語化する癖をつけておく事で再現性と精度が上がる

    ー講義テーマ『PRECISION:精度』を上げる方法を教えてください。

    中西:精度を上げる為には、成功体験を言語化する事が一番のポイントです。
    失敗時のプレーを検証し言語化する事が多いと思いますが、僕は成功時のプレーを言語化する事を繰り返し行い、再現性を持たせる事にフォーカスしています。
    1回成功した事は、例え意図したプレーでなくても、選手自身がプレーした事なので再現出来ると思います。なぜ成功したのかを選手に尋ねながら、選手に言語化してもらった上で、再現性を上げるトレーニングをします。
    基本的にスポーツは再現性が全てだと思っているので、成功体験を振り返り言語化する習慣をつけておく事で再現性と精度を上げられます。

    ー言語化のための指導方法はありますか?

    中西:選手達が自分で言語化がする必要があるので、僕から説明せず選手達に質問をして成功の理由を聞く事を基本にしています。
    質問時に選手がうまく言語化出来ない時は、2択の質問を選手に選択させ、成功体験を言語化させる方法を取っています。
    例えば、足を速く振ったのか、ゆっくり振ったのか等を繰り返し質問する事で少しずつカテゴライズされていくので、2択の質問で理由を引き出して言語化させています。

  • 能動的に取り組むべきだと感じた時に進化が最大化する

    ー中西さんの経験を伝える事はありますか?

    中西:サッカー選手としての経験は伝えようと思っていないです。
    現役時に1番影響を受けたのはアーセン・ベンゲル氏(以下、ベンゲル氏)で、指導内容は全部ノート書いていて、今でもノートを見返します。
    僕は自分が納得出来る練習がとても重要だと思ってます。例えばランニングトレーニング時に、必要と思うか、疑問に思うかであれば、やるべき事と納得してトレーニングする方が効果があります。
    能動的に取り組むべきだと感じた時に進化が最大化すると思っているので、必要なトレーニング、やってみたいと思える事やわくわくする状況を作る事が選手の進化に繋がると思っています。

    ーベンゲル氏の影響が大きかったのですね。

    中西:1番進化した時期はいつかと考えた時に、ベンゲル氏の指導を受けた1年半でした。
    ベンゲル氏の指導は毎日わくわくでき、練習で自然と上手くなっていく感覚がありました。トレーニングの意味をベンゲル氏に毎回質問していたんですが、説明してもらえる事もあったし、してもらえない事もありました。
    引退後にベンゲル氏が指揮していた海外クラブのトレーニングに何度も参加させて頂き、初めて意味が分かった事も多くありました。
    Jクラブと同じトレーニングを海外クラブでも行っていましたが、現役時はトレーニングの意味や意図があるかを深く考えた事が少なかったのでとても衝撃的でした。
    ベンゲル氏のトレーニングに参加し意味や意図を知る事はとても大きく、能動的に取り組む重要さはサッカー人生の中でとてもポジティブな瞬間であり、自分の指導にも取り入れたいと思いました。

  • 最後は自分で上手くなる必要がある

    ーベンゲル氏の指導で印象的な事はありますか?

    中西:出来そうで出来ない事をトレーニングする事で、試合中に自然と上手く出来るようになっていた事が何度もあり、サッカーがとても楽しかったです。
    プロになり良いプレーよりもミスしないプレーを選択する思考もありましたが、ベンゲル氏と出会ってからはプレーを楽しむ思考になった事で、プレーもサッカーも新しくなった感覚がありました。
    通っていた高校はサッカー部がなくクラブチームでプレーしていましたが、週に3日のみの練習だったので、残り4日は個人練習でした。
    自分の選択を正解にする為に常に何をすべきなのかをよく考え練習する事がとても重要で、思考面でも能動的に取り組む重要性は理解していました。なのでベンゲル氏の指導の感覚と学生時代に自分で考え、工夫しながら行ってきたトレーニング方法を合わせる事を、今は常に考えています。

    ートレーニングで意識している事を教えてください。

    中西:トレーニングメソッドは自分で開発したもので、プレーする中で必要な動きを日々考えた上で、新しいトレーニングを加えながら選手にメニューを提供しています。
    選手の期待に応える為には僕も常にアップデートし続ける必要があります。新しい技術やトレーニングを生み出す為に、サッカーだけに関わらず新しい物事を始める事も大切にしています。
    また選手たちが出来ない事も常に探しています。ただハードル高すぎると諦めてしまう選手もいるので、技術的負荷と思考的負荷を使い分けて出来ないことを出来るようにするタイミングを増やすことで、選手が進化を実感出来るようにしています。
    最後は選手が自分で上手くなる必要があるので、選手が自分の体に技術を自然に定着させられるようなドリルを編み出せればと、日々考えています。

  • 悔しさを出した瞬間が1番成長出来る

    ー自主的に取り組む方法を教えてください。

    中西:成長する1番のポイントは、選手がやりたいことをトレーニングすることです。何をすればいいか分からない時は、こちらから指導ポイントを伝えるのではなく、何を上手くなりたいのか必ず質問して、まずはその部分にフォーカスしています。
    最初から1番苦手なプレーをトレーニングしたいと言う選手は少ないので、最初は選手がやりたいトレーニングをして、納得感と上手くなった感覚を与えることで、自分の1番苦手な部分聞いてみてもいいかなと思わせることが重要です。

    そうすることが、指示待ちの選手を取り組まなくてはいけない部分に目を向けさせる方法だと思います。

    ー成長出来る選手の特徴はありますか?

    中西:悔しさを出した瞬間が1番成長出来ると思うので、悔しさを前面に出す選手です。
    悔しさは出来ない時に生まれるので、僕が出来て選手が出来ないトレーニングを行い、出来ない状態を作ることを意識しています。
    目前の人の動きはミラーリング効果があるので、僕がしっかりデモンストレーション出来なければ選手も納得しないので、普段から正しい呼吸と姿勢で自分を磨くよう心掛けています。

  • 自分を信じられる自分になれるよう、自分との約束を守り続けて毎日過ごしてほしい

    ー『PHANTOM FOOTBALL ACADEMY』を通して選手達がどのように成長してほしいですか?

    中西:サッカーは自分で瞬時に判断をしてプレーしないと成り立たないスポーツです。自分で選択する瞬間が1番楽しいと思うので、自分で選択出来る選手です。
    また左右のどちらにも行けて、左右どちらでも素晴らしいパスやシュートが出来ることでサッカーはより楽しくなります。サッカーを楽しむための技術と思考を選手に伝えることが出来れば、僕はうれしいです。

    ー「PHANTOM GX 2」の感想を教えてください。

    中西:キックの時に柔らかいインパクトなので、力みなくより正確なボールを蹴る事が出来、非常に良いイメージを持ちました。
    選手たちも、履きやすいし足入れ感が良い、キックしやすいと話していました。

    ー最後に全国のサッカープレーヤーにアドバイスお願いします。

    中西:今は日本のどこからでも世界を目指せる時代だと僕は思っています。ただ世界を目指すかどうかは自分自身で決断する必要があります。世界一のチームでプレーしたい、世界一のプレイヤーになりたいと思うのであれば、目標達成の方法を自分自身で探すようになります。
    そこを目指すかはどうかは全ては自分次第。進化する方法を探し、限界を突破して世界のステージに進んで欲しい。
    そのためにも自分を信じられる自分になれるよう、自分との約束を守り続けて毎日を過ごしてもらいたいです。

OTHER INTERVIEW
 

オフピッチとオンピッチの講義の様子をレポートでお届けします。

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