PHANTOM CREATOR ACADEMY

CREATOR INTERVIEW

@国見高校 2023.3.3 Fri.

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三浦 崇宏 株式会社GO 代表・PR/
クリエイティブディレクター

サッカーショップKAMOがNIKEと共に立ち上げた
『Nike FC presented by Soccer Shop KAMO』の活動の
第一回として訪れた国見高校。

”Phantom Creator Academy”と題した今回の企画にて、
精神面(オフピッチ)の講師としてお招きした三浦氏にインタビューを行いました。
  • クリエイターに講義していただく初の試み

    ー本日は宜しくお願い致します。
    早速なのですが、サッカーショップKAMOとして選手の方やメーカー様にスパイクなどの講義をしていただく機会はあるのですが、今回、三浦さんのようなクリエイターの方に講義をしていただくのは初めてになります。
    講義のお話をお受けいただいた際に、どのように感じたかを教えていただけますでしょうか?

    すごい試みだと思いました。

    優れたアスリートは、皆さん頭がすごく良いんです。スポーツ選手は学者とかとは真逆で、頭を使うよりも身体を動かすという印象があると思うんですけど、僕の知っている一流のアスリートの皆さんは、やっぱりすごく頭が良いんですよ。

    それは、知識があるとかとはちょっと違っていると思っていて。フィールドにおける“判断力”、相手の動きを“想像する力”、相手の考えを“読み解く力”、さらに言うと、自分やチームを中長期的に育てていく戦略を立てる能力、その計画性やアイデアの閃きって、どの分野でも一流の人には必須の能力だと思うんです。

    このような能力は、普通は練習とか共同生活のなかで身につくものだと思うんですけど、これだけに特化した講義をやるっていうのは、すごく優れた取り組みで、今後一流のアスリートを育てる“スタンダード”になったらいいなと思っています。

  • 自分が与えられた制約、条件の中で結果を出そうとする意志が「自分らしさ」を生む

    ー三浦さんは柔道をやられていたと伺いました。
    部活動や学校の規律はどんなシーンでも大事だと思っておりますが、その規律の中でも自分を表現する必要性を感じており、今回の講義をきっかけに表現者がもっと出てきてくれることを期待しております。
    自分を表現するうえでのアドバイス・ポイントを教えていただけますでしょうか?

    もしかしたら今回の趣旨とずれてしまうかもしれないんですけど、僕はクリエイターであれ、アスリートであれ無理に自分の個性を出そうとする必要は一切ないと思ってるんですよ。
    僕自身もそういった気持ちを持ったことは一度も無くて、とにかく「クライアントさんのビジネスがうまくいように」って、その結果だけをすごく考えています。

    柔道のプレイヤーだった時にもとにかく純粋に勝ちたい気持ち、成果を追い求めていたわけです。でも、そうすると当然障害があって、その中でどうやって成果を出すかを考えます。
    学生時代、柔道の名門校ではなく進学校だったので、練習時間がすごく短かったんです。そういう制約って常にあるじゃないですか。
    結果を出すために必死に制約を乗り越えようと考える時に、自分らしい表現とか、壁を乗り越えるアイデアが出てくると思っていて、その結果、自分らしさって自然と生まれていくので、結果を出すために目の前にある制約をどう乗り越えるかだけを考えていれば、自分を表現しようなんて僕は一切考えなくていいと思うんですよ。

    当然、人や環境、持っている才能とかによって制約の乗り越え方が違うわけですよね。
    例えば、学校まで遠い子だったら、普通は自転車とか車で通うところを走って通学することで、勝手に体力がつきます。 進学校に通っている子は練習時間が少ないとか、勉強しなきゃいけないけど、夜の2時間削ってYoutubeで有名選手の練習をみるとか。
    自分なりに制約の乗り越え方を考え抜いた先で方法を見つけたら、それがクリエイティビティとか、自分らしさに繋がると思うので、自分らしさを出そうって考えることがある意味邪念かなと思うんです。
    とにかく、自分が与えられたカード、制約、条件の中で“絶対に結果を出すぞ”っていう強い意志が自分らしさを生むことだと思います。

  • 自分らしさは、たぶん自分ではわからない

    ー勝ちたいとかうまくなりたいという目的に対して、周りの人と違うことをやることで自分らしさを出そうとしがちですが、周りと同じことでも、違うことでも、目的に対して考え抜いた先に“自分らしさが生まれる”ということなのですね。
    そのなかで、プレイヤーの気持ちの持ち方、三浦さん自身の考え方を教えていただけますでしょうか?

    例えば、ブラジルはすごく広いグラウンドがたくさんあるわけじゃないですよね。
    彼らも広いグラウンドでやりたかったけど、狭いグラウンドでサッカーをするからこそ、パス回しが速くなったり、チームワークが良くなったりすることが勝手に起きるわけじゃないですか。
    その環境のなかで、結果でもプレーでも勝ちたいと思っているし、サッカーが好きだっていう気持ちがあるから自然にプレイヤーが成長していったというような感じ。

    なので、自分らしさって多分、自分ではわかんないんですよね。
    周りの人とか環境で自分らしさが作られていくので、とにかくサッカーを楽しむとか、サッカーを愛するとか、チームが勝つために頑張るとか、そういったことの結果が自分らしさだと思うんです。
    自分らしさを手段とか目的にすると、伸び悩むんじゃないかなって気がします。

    僕自身、周りと比べて順調に階段を上ってきたタイプはないので、クリエイターを始めた頃は周りの人がやらないことをやらなくちゃいけないっていう風に、目立とう目立とうとしてたんです。
    今は逆にそういう気持ちが無くなって、ともかく目の前のクライアントのために成果を出す、目の前のプロジェクトを成功させるってことを考えるようになったんです。 結果的にすごく個性的なクリエイターっていう風に見られるようになってきたと思います。

  • どんな相手に対してもリスペクトを持って向き合う

    ー今回、高校生への講義となりますが、普段私が高校生、10代、20代の方、取引先様やお客様と接するなかで、伝え方を変えたりすることがあります。
    三浦さんが高校生への講義の準備をするにあたって、工夫をされたり、違う事をされたりしたのでしょうか?

    高校生への講義は機会がないので、緊張してます。
    普段、僕はいろんな場所で講義させていただいたり、クリエイター向けの授業をしています。
    例えば文部科学省で話すときはこう、会社でやっている「THE CREATIVE ACADEMY」の授業で話すときはこうとかはありますけど、今回は完全にオリジナルで準備してきました。

    講義や話を聞くなかで1個だけ大事にしてるのは”馬鹿にしない”ってことです。
    僕は6年間自分の会社をやってきて、インターンの大学生がずっといるんです。
    彼らへ広告の仕事は教えられるけど、それ以外の事に関しては僕より優れている可能性がある方々だと思うので、馬鹿にしたりは一切しません。先生である僕のほうが偉いとかじゃなくて、どんな相手に対してもリスペクトを持って向き合いたいなと思っています。

  • サッカーが好きだと思えることが“1つの才能”

    ーありがとうございます。
    最後に、サッカープレーヤーやサッカーファンに伝えたいことはありますでしょうか?

    もしかしたらサッカーよりも勉強しなさいとか、プロになれるのは一握りだからやめなさいとか言われるかもしれないです。
    でも、これからの時代って、多分嫌な事とかはAIかロボットが代替してくれると思うので、好きなものがあることの方がはるかに大事だと思うんですよ。

    昔はサッカーがうまい人とか、一流の人だけしかサッカーを仕事に出来なかったと思うんですけど、サッカーというスポーツをこえる仕事やサッカーのゲームや映画などのコンテンツを作る仕事、サッカーが好きだからこそできる仕事がたくさんあります。だからこそ、これからは何か好きなことがあるということがものすごく重要です。
    好きなことが無い人って何をしていいのか本当にわかんないんですよ。

    なので、サッカーが上手い、下手とは関係なく、サッカーが好きだって思えることは本当に素晴らしいことで、好きっていう時点で“1つの才能”であり“確かな可能性”なので、その気持ちを大事にしてほしいなと思います。

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